シャネル展で見た「削ぎ落とすこと」の話。
「シャネル」と聞いてどんなイメージがありますか?ハイメゾンのブランドで、ツイードのジャケットや黒のキルティングに金のチェーンや留め金のバッグ、Cマーク、マリリン・モンローの台詞で有名なかの香水No.5……。
「ガブリエル・シャネル」や「ココ・シャネル」と個人名を聞くと、女性実業家としての面や名言の数々を思い出すかもしれません。そんなシャネルの回顧展示を見に行ってきました。秋の話です。日本での大規模な展示は32年ぶりだったそう。
さて。シャネルといえばジャージー素材(といってもシルクやウール)を多用し、それまでの締め付けコルセットなドレスを、とにかく動きやすい活動服に変えたという功績を持ちます。
また、リトルブラックドレスに代表される、過剰なフリルやレースのない、一見シンプルなドレス(……と言ってもよくよく見ると超絶技巧なんですけど)。
つまり、結構削ぎ落としているんですよね。
今回の展示会場では彼女のこんな言葉が紹介されていました。
“均整“
いつだって理想のドレスを作るところから始めているのです。
その次に、切り取ること、削ぎ落とすこと、
取り除くことが必要で、
決して付け足さないこと。
ひとまず理想を詰め込む。そこから減らしていく。アクセサリーの付け方とかでもこの話って耳にしますよね。シャネルが生きた時代はまだふんだんに要素を詰め込む時代だったので、この削ぎ落とす美はリトルブラックとしてセンセーショナルだったろうなと思います。いや展示してあったアクセサリーは結構ゴテゴテでしたけどね。
シンプルやミニマムは美しい。勿論ロココやアールデコにも、それはそれで圧倒される華やかで迫力のある美があるけれど、自分が今心地よいと思う方向はどちらなのか。対話して進んで行きたいものですね。