ちょっとリアルな子守歌を歌ってみる
娘たちがまだ新生児だった頃。私は「とりあえず子守歌でも歌ってみるかな……母親っぽいし……」みたいな気持ちで子守歌を歌っていました。理由が雑ですね。勿論子守歌で寝てほしいという気持ちも大いにありました。ポイズン効かなかったし。
歌っていたのは定番の『ゆりかごの歌』と『チョッチョイ子守歌』の2曲。ちなみにチョッチョイ子守歌は沖縄の子守歌です。両方ともとても穏やかな曲。
その穏やかな歌を歌っていた当時の自分の心は、全く穏やかではありませんでした。だって寝ないんだもん!寝てくれ!寝てくれよ!赤子は寝るんだよ!
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そんな一般的な子守歌で心が荒む当時の私にお薦めな子守歌を見つけました。『ねんねこさっしゃりませ』です。
この子守歌は中国地方(岡山県)の歌で、山田耕筰がその美しさに感銘を受けて広げたとされています。11ぴきのねこに出てくる『ねんねこさっしゃれ』ですね。
さてこの歌、調べてみたら歌詞にびっくり。
ねんねこさっしゃりませ 寝た子のかわいさ
起きて泣く子の ねんころろん
つらにくい ねんこころん ねんころろん
起きて泣く子の面憎さ……わかるわかる。というか子守歌でこれ歌っちゃうのか、いいよいいよわかるわかる。
検索すると、大体は3番までの歌詞のバージョンが出てきますが、原曲の井原市バージョンはなんと7番まであります。しかも2番の歌詞が結構キてる。
つらのにくい子を まな板にのせてさ
青菜切るよに ねんころろん
じょきじょきと ねんころろん ねんころろん
じょきじょきと……。歌詞を見ていくと、「今日は二十九日さ 明日は宮まいり」的な歌詞が出てくるので、時期的には産後1ヵ月未満の新生児期だということが分かります。ママ助けてあげて!誰かママを!助けて!
宮参りでは子の一生がまめなようにと願っているので、産後鬱に片足突っ込んだだけの歌ではありません。辛い、子供が憎らしい、でも寝た子は可愛い、幸せになってほしい。そんな気持ちが入り乱れているのがとてもよく伝わってきます。
NPO法人日本子守唄協会 子守唄 - ねんねこさっしゃりませ - 井原市
ちなみに違う歌詞のバージョンも見つけました。まぁ伝承なんてそんなものですね。
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穏やかな美しい子守歌も素晴らしい。でも疲れているママたちには、こんな子守歌も寄り添ってくれると思うのです。つらにくいと歌うことで、先人も苦労したのが分かることで、ちょっと心が楽になれる気がしました。