産後うつに片足を突っ込んだ話②
毎日の家事育児の中で、どんどん疲労と虚無感が募るようになっていった私。なんとなくヤバい気がして、夫に30分早く帰宅できないか頼んだりもしていました。
でもこの時はまだ笑えていたし、楽しい事は楽しかった。感情のふり幅がどんどん大きくなっているような感じでした。そして引き金になる事件が起きたのです。
前回記事
***
***
8.いちこ車道に飛び出し事件
保育園の帰り道。ベビーカーに乗ることを拒否し、「いちこ自分で歩くの」と主張。もうちょっと広めの道なら……と思うもガチ泣きで乗車拒否だったので、「じゃあママとおてて繋いでてね。絶対離さないってお約束できるね」と約束のもと、歩いて帰ることになりました。この時の状況は、抱っこ紐でにいこを抱っこし、左手でベビーカーを押し、右手でいちこと手を繋いで歩いている感じでした。
そして車通りのある道の橋の上。電車を見る為に立ち止まった瞬間、いちこは私の手を振りほどいてダッシュで逃走。「いちこー!ストップ!止まる!」と声を掛けるも勿論止まらない。なんなら笑顔で振り向きながらキャハハッと走っていく。
その先には交差点、車道。
「止まりなさいッ!」と絶叫し、ベビーカーを橋の上に置いたまま全力でダッシュし、いちこを捕獲しました。幸いにも車は来ておらず、いちこは轢かれずに済みました。私の寿命は縮まりました。
「いちこ!止まってって言ったよね?ママとおてて繋ぐって約束したよね!?」と言いながらベビーカーに乗せようとするも、「いちこヤダ歩く!自分で歩くの!」と叫ぶ。さっきそれで言う事聞かないで車道飛び出したキッズがどの口で言うんかー!と私は怒りモード。「ダメです、ママとのお約束守れない子はベビーカー乗ってください」「イヤだ歩く歩くの!」「ダメです危ないです、ぶーぶーにぶつかってたら痛い痛いだったんだよ血がいっぱい出たんだよ」「イヤだイヤだ歩く歩くの!」
その後、力尽くでいちこをベビーカーに押し込みベルトをかけました。脆弱な5点ベルトのB型ベビーカーで、帰り道いちこは大暴れで喚き続けました。15分位でしょうか。ずーっと降りる降りる歩く歩くこっちの道じゃない歩く降りるでびょんびょん。
9.糸が切れた
えぇ、2歳児なんてこんなものです。こんなものだって分かってます。分かってます、けれど。にいこを抱っこ紐に入れてフルパワーが出せない今、どうやって命を守れと?
ぎゃーぎゃー喚き散らすいちこに私の中でぷつっと糸が切れました。降りようと暴れるいちこを力尽くで強く押さえつけ、ベビーカーを足で蹴とばしました。ガンッ。何回か蹴り、うち1回、座面シートにぶつかりました。
勿論それで泣き止む訳はありません、むしろヒートアップです。でもだんだん声が小さく、諦めてきたようでした。「お地蔵さんいるね」とか、別の会話をいちこは始めました。私はそれに応えることが、できませんでした。
家に着いた後、感情的になった自分に落ち込みました。このままじゃいけない、と思い、いちこと向かい合って改めて話をしました。最後には「わかった」と言ってくれたので、ひとまず終了。お互い落ち着くためにトトロのDVDを見ました。
10.夫との会話で自尊心が行方不明になる
帰宅した夫に、今日の車道飛び出し事件の話をしました(ベビーカー蹴とばした話はできなかった)。夫の反応は「もっと広い道のところで歩かせればよかったんじゃないの?」でした。いやだからそこの道にたどり着く前からベビーカー拒否だったんだってば!「ハーネス買おうかなぁ」と言っても「いやー要らないよ。ちゃんと手握ってればいいだけの話でしょ」と言う。にいこ抱っこしながらベビーカー押しながらそれやってみろ。
全く話が嚙み合いませんでした。夫と私では物事に対する視点がかなり違います。視野を広げるのに役立つ一方、こういう時には噛み合わなかったり、共感が一切ないことに苛立ったりします。私が。
その後、全く別の話をしていた時に、向こうがかなり否定的な反応をしました。枕詞のように「当たり前の話なんだけどさ、」とか「そんなの分かり切ったことやけど、」とかがつく。会話の途中から、「あ、これダメなやつだ、切り上げないとダメなやつだ」と自分の頭がアラームを鳴らしました。切りよく話を終わらせましたが、私の頭の中ではもう、何かが壊れていました。
どんどん頭の中にイヤな感情が沸いていきました。お風呂の中で、布団の中で、涙が止まらない。
「あー本当、私って駄目な人間なんだな」「本当に無価値だな」「私が一生懸命やってることも、当たり前のことを必死にやってバカみたいとか思われてんのかな」「私がいない方がこの家いいんじゃないかな」「ちょうどにいこも哺乳瓶飲めるようになってきたし、私いらないよな」「私にいいところなんて一つもない。母親としても失格だ。虐待してるって通報された方がいいよ」「きえてしまいたい」「眠りたい。一人静かに眠りたい。もう目を覚ましたくない」
ホルモンバランスが崩れ、心身疲れていたところに沸いた車道飛び出し事件と、夫との会話。これが引き金を引いて、私は産後うつに片足を突っ込んでいったのでありました。
長すぎてすみません。もう1つ続きます。