おうちのモヤモヤ退治

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産後うつに片足を突っ込んだ話④

診療内科にかかり抗不安薬を処方された私。耳鼻科や消化器内科の薬は飲みなれていてちょっと詳しくなっちゃいましたが、心療内科(精神科)系の薬を飲むのは初めてです。

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前回記事↓

itgreco2.hatenablog.com

 

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14.抗不安薬メイラックス

しかしメイラックスってなんか聞き覚えのある名前だな……と思ったら、昔読んだ南条あやさんの日記にたまに出てきていました。もう15年以上前に読んだのに、人間忘れないもんですね。

 

メイラックスは、ざっくり説明すると「脳の機能を抑えて、抗不安効果がそこそこ強く長く続く薬」だそうです。1日1回で効果が長く続く。筋弛緩効果も多少あるらしい(肩こり効くかな……)あと催眠効果があるんですが、これはサイトによって中・弱と表記が色々でした。今回の産後うつで、幸い不眠症状は出ていない私。さてどうなる。

 

結果、めっちゃ眠くなりました。とにかく眠い。ちょっとごろんとしただけですやすや眠ってしまう。4月初旬で保育園の慣らし保育が始まっていたのですが、朝も全く起きず、朝担当の夫にゆさゆさと起こされてにいこに授乳していたレベルでした。その後も二度寝。更には帰宅したにいこと一緒に平然と2~3時間昼寝。本当、ずっと眠っていました。

 

この頃、心療内科の先生の勧めで金土日に実家に帰省しましたが、実家でも寝倒していました。午前も午後も夜も普通に寝ている。薬の効果が抜群に効いているのか、自分のここ半年の疲労蓄積を解放すべくなのか、どちらが判断がつかないほど寝続けていました。

 

ちなみにこの時の帰省は、いちこ・にいこ・私の3人で、夫は帰省していませんでした。私が眠りこけていた間に2人の赤子を見ていてくれた実両親には本当に感謝しかありません。産後うつなこととメイラックス処方されていることも伝えていたので(※母は医療従事者)、色々と気遣ってくれたようです。

 

 

15.それでもまだ笑えない

実家で眠り姫な時間を過ごして帰宅しました。家には夫。この時の私は、ようやく夫の顔を見て話しができるようになりました。娘たちの世話もできるようになりました。でもまだ、心が回復しきった訳ではなく、笑うことはできませんでした。何かを楽しむこと、楽しみにすることもできませんでした。世の中のニュースはコロナばっかりだし。「楽しいことって何?」と本気で思っていました。

 

あと……この抑うつの起因の一つにもなった夫との会話について、夫と話をしないといけないって、自分の中で分かっていたんですよね。抗不安薬は不安を打ち消してはくれるけれど、そうなった環境や原因自体を取り除いてくれるものではないので。でもそれをできるほどには回復していませんでした。ただ前に進みたいという気持ちがあったので、一言二言、思っていることを伝えたりしました。

 

16.2回目の心療内科

再診。具合はどうですかー?と聞かれ、「メイラックスがよく効いたのもあってよく眠れて、ちょっとよくなりました。前のように希死願望がでることが減りました。ただメイラックス2㎎をそのまま飲んでいたら、少し効きすぎて眠気がすごかったです」という内容を伝えました。

 

謎カウンセリングの後、今度は半錠分にあたるロフラゼプ酸エチル1㎎(※メイラックスジェネリック)と、新しくバルプロ酸ナトリウム100㎎(※デパケンジェネリック)を処方されました。

ちなみにこのカウンセリングの時だかに、「ぐれこさん、2人目産んで抑うつ状態でしょ3人目は我慢した方がいいですよ。他の患者さんでやっぱり3人目産んでうつになっちゃった女性いるし、危ないよ」と言われました。なかなか凄い発言だな……でも本当にね、私は抑うつ状態で済んでるけれど、重度の産後うつになったら自分(&子供)の命が危ないものね……入院の可能性もあるし。なんだか考えさせられました。

 

17.デパケン

ジェネリック(後発薬)名で話をすると分かりづらい派ので先発薬名で話をします。デパケンは抗てんかん(パニック)作用のあるお薬です。ざっくり説明だと、脳内での神経興奮を抑制する作用があり、感情のブレを抑えるお薬です。てんかんや躁鬱治療なんかに使われるお薬だそう。

 

デパケンが効いているいるのかどうかは、正直自分では分かりませんでした。まぁ前よりは落ち着いたのかな……ただ効果が分からない分不安感が募ったので、その時にはメイラックス1㎎を2錠飲んで、とりあえず眠って不安を抑えたりしていました(※後日先生に話して許可貰っています)。

 

余談ですが、メイラックスは「ベンゾジアゼピン抗不安薬」という分類に入るのですが、この分類のお薬、結構依存度が高いんだそう。デパスとか、ソラナックスとか、レキソタンとか(南条あやさんの日記でいっぱい見たなぁ)。メイラックスは新しめのお薬で、薬の血中半減期(効果が薄まるまでの時間)がかなり長いため、そこまで依存度は低いとされています(切れが早い薬だと、すぐにまた不安になって飲み続けて依存してしまうため)。

 

でも「不安になったら2錠飲もう、大丈夫私にはメイラックスがある……」と謎のおまじないが心の中で生まれていました。今後のためにお守りで多めに処方してほしい……ジャンキーだわ。

 

18.眠る日々と慣らし保育終了

その後もお薬を飲み続け、慣らし保育中の4月はできる限り隙間時間は寝るようにしました。「慣らし保育が順調だったらあそこのお店でランチして、あの美術館に行って……」等の夢は全て打ち砕かれました。その分静かにネットショッピングをしていました(笑)

 

 19.保健師との面談

 私の住んでいる区では、赤ちゃんが生後7か月になるまでに面談を受けることができます。サボっていたので児童館で受けてきました。

 

いちこのイヤイヤ期&赤ちゃん返り&ママ嫌で参っていること、車道飛び出し事件、だんだん疲れてにいこのことも可愛く思えなくなってきてしまったこと、児童館にはコロナで来づらかったこと、心療内科に通院して薬を飲んでいること等を伝えました。提出したエジンバラ産後うつテストは凄いことになっていましたが、まぁいいや。

 

保健師さんはとにかく傾聴し、ママ頑張ってるよと言ってくれました。考えてみれば、ママ頑張ってるなんて誰かに言われたことあったっけ?近所のママ友に1回言ってもらえた位か……やっぱりあれです、産後のママはもっと労わって褒めちぎられていいんですよ。面談で泣きました。

20.2回目の実家帰省

コロナ緊急事態宣言真っ盛りでしたが、保健師さん&心療内科の先生から「帰省した方がいいよ」とお墨付き?を貰ったので、GWが始まる前に帰省しました。最初の2日は私・いちこ・にいこ。途中から夫が来ました。

実家に着いてすぐ、実母に「よかった、前よりも顔色がだいぶよくなってるわ」と言われました。前回は本当、死にかけていたそうです。笑ってなかったし、頭痛もしてたしね。しかし実家に帰るたびに鼻水ひどいんだなー、ハウスダストシックハウスかどっちだろう。鼻炎の薬も飲んで、とにかく寝ていました。

 

21.自分の好きなもの

今回の帰省では、いつもと違う点が1つありました。それは私のもともと居た自分の部屋に立ち入れたこと。今までは実家暮らしの姉(極★片付けられない人間)が私の部屋も占拠していたので部屋の奥にまで到達できなかったのですが、春に一人暮らしを始めたため、物量が減り、なんとか一番の電子ピアノに辿り着くことができました。まぁ謎の段ボールのせいで右手3オクターブ以上弾けなかったんですけどね。

 

でも久々に弾いた電子ピアノ。控えめにソナチネの教本を取り出して弾きました。覚束ない左手。でも不思議なことに、20年近く前に弾いただけなのにメロディーラインとか覚えてるんですよね。あー、私、ピアノ弾くの好きだったんだなぁ。練習は嫌いだったけど(笑) あの強弱やテンポの揺さぶりに自分の感情を詰め込んでいくのが、大好きだった。

 

心療内科の初回カウンセリングの時に趣味を聞かれて、私答えられなかったんですよ。もともと多趣味な人間で、ピアノを弾くのも、歌うのも、ミステリー小説を読むのも、ファッションを見る(装苑とか)のも大好きだった。着物も好きだし、建築やアートを見るのも好き。最近は防災も好き。色々なビールも好きだし、カレーを作ったり食べるのも好き。ほら、私好きなこと、いっぱいあったじゃないか。

 

すっかり忘れていた。私には好きなこと、興味のあること、いっぱいあった。

 

それが全部、全部消えていた。自分には何もないと思っていた。そんなこと、なかった。ピアノでノクターンや月光、アラベスクやインベンションを弾いていたあの頃が、鮮やかな風とともに、駆け抜けていきました。

 

 

もう一話できっと終わる筈……。